le 22 aout, 2021
le 9 aout, 2021


駿台 化学 単元別 共通テスト 第5問(1)

「蒸気圧曲線」に関する問題



<解説の解説>  
  

※ 気液平衡のポイント

 液体が共存するとき,気体は飽和蒸気圧を示す。   
 液体の量に無関係。一滴でもあれば飽和蒸気圧となる。
 気体は飽和蒸気圧以上の圧力はとれない。
   つまり,飽和蒸気圧を超えた部分が凝縮して液体になる。


※ 分圧の法則のポイント 

 混合気体の全圧は分圧の和。
 分圧比は物質量の比。 分圧はモル分率×全圧。



問1  酸素 0.10 mol,エタノール 0.10 mol の等モル混合気体の 
   「等圧条件」での変化


(1) 65℃のとき,酸素もエタノールもすべて気体と仮定して,分圧を求めると,

  ドルトンの「分圧の法則」より,

     PO2 = { nO2 / ( nO2 + nEt ) } ×P 

         = { 0.10/ (0.10+0.10) }×1.0×105 =
5.0×104 Pa
                     
     
PEt = { nEt / ( nO2 + nEt ) } × P 

         = { 0.10/ (0.10+0.10) }×1.0×105 =
5.0×104 Pa
   
   ※ 物質量が同じだから分圧は全圧を半々に。グラフでは0.5, 0.5。 

  グラフより,
  エタノール分圧の計算値(0.5)は,飽和蒸気圧(0.6) 以下

          
PEt < PSAT65℃ だから,仮定は正しい。        

   グラフに 80℃から 0.5×105 Paの直線を引くと,
   61℃付近で飽和蒸気圧曲線と交わる。

   ここから先は,凝縮して液体が共存するので,気液平衡が成立し,
   飽和蒸気圧曲線上を動く。



(2) 42℃のとき,エタノール分圧の計算値(0.5)は,飽和蒸気圧(0.2) 以上 

   
PEt > PSAT42℃ だから,
   
  液体が共存し,計算値はとれず,飽和蒸気圧(0.2)を示す
   
      PEt = PSAT42℃ = 2.0×104 Pa  

  全圧は一定のままだから,ドルトンの「分圧の法則」より,

      PO2 = P - PEt = 1.0×105 - 2.0×104 = 8.0×104 Pa

   ※ グラフに書き込んでみると,以下のようになる。
       全圧は分圧の和が一定のグラフになる。



※ 要点を図にしてみると

  


《 参 考 》

(1) 65℃のときの体積は,状態方程式で,次のどれからでも求められる。

   混合気体   V = nRT/p = 0.20×8.3×103×338 /(1.0×105) = 5.6 L
   酸素      V = nRT/p = 0.10×8.3×103×338 /(5.0×104) = 5.6 L
   エタノール  V = nRT/p = 0.10×8.3×103×338 /(5.0×104) = 5.6 L

(2) 42℃のときの体積は,物質量が変わらない酸素から求める。

     酸素    V = nRT/p = 0.10×8.3×103×315 /(8.0×104) = 3.3 L

(3) 42℃のとき,
     エタノール物質量の何%が液体になったかを問われることもある。

     気体部分で,「物質量の比は分圧比」 から,
      nO2 :nEt = PO2 : PEt

      0.10mol : x mol = 8.0×104 Pa : 2.0×104 Pa

      x = 0.025 mol  のエタノールが気体として残っている。

      はじめに容器にいれたのは 0.10 molだったから,

      0.10 - 0.025 = 0.075 mol が液体になったことになる。

      (0.075/0.10)×100 = 75 %

    ※ または(2)で求めた容器の体積から
         n = pV/RT = 2.0×104×3.27/(8.3×103×315) = 0.025 mol