le 28 septembre, 2021
授業傍用プリント 有機p-81演習1
駿台 理系標準問題集 化学 四訂版
165 名城大(改)
「ベンゼン置換体」に関する問題
C8H10O の異性体
※ 「芳香族」または「ベンゼン環をもつ」
という表現があること。
<解説の解説>
※ 構造推定のポイント
塩化鉄(Ⅲ)水溶液で呈色 → フェノール性ヒドロキシ基あり
分子式から環を引き算する → 置換基の原子の数がわかる
側鎖は4価の炭素と2価の酸素で組み立てる
二置換体は,o,m,p
三置換体は二置換体をベースに対称軸を考慮して
三つ目の置換基の位置を決めていく
Q1 FeCl3で呈色するもの
(1) フェノール性ヒドロキシ基はベンゼン環に直結しているから,
すでに-OHがついているので,二置換体以上を考える。
i) 二置換体のとき
分子式 C8H10O
環 C6H4 (-
---------------------
置換基 C2H6O
置換基のうち一つはOHだから,これを引くと,
もう一つはC2H5となり,エチル基と確定する。
o,m,p の三種を考える。
ⅱ) 三置換体のとき
分子式 C8H10O
環 C6H3 (-
---------------------
置換基 C2H7O
置換基のうち一つはOHだから,これを引くと,
残りはC2H6となり,分けると2個のメチル基-CH3
が確定する。
2個のメチル基をつけたo,m,p-キシレンに
対称軸を引き,-OHの置換位置を決定する。
Q2 一置換体であるもの
(2) 定石どおり,分子式から環を引き算する。
一置換体のとき
分子式 C8H10O
環 C6H5 (-
---------------------
置換基 C2H5O
側鎖としてC2H5Oが一か所についている。
2価以上の原子は C, C, Oだから,
環 - C2 - C1 に -OHがついたアルコール
環 - O - C - C のエーテル
環 - C - O - C のエーテル
が考えられる。
Q3 FeCl3で呈色しない二置換体
(3) 定石どおり,分子式から環を引き算する。
(1)の i) 二置換体のときと同様に
分子式 C8H10O
環 C6H4 (-
---------------------
置換基 C2H6O
ただ,(1)の i) では環に直結した-OHがあったが
今回はないので,C,C,Oのうち,Oはだめ。
そこで,二つの置換基は Cすなわち-CH3と
C+Oすなわち-CH2-OHもしくは-O-CH3に
限定される。
それぞれ o,m,p の三種を考える。
※ 化合物名は,実は何通りもあり,図には高校生になじみのある
化合物をベースにした例を示してあります。
たとえぱ,(1) ではフェノールをベースにして2.3-dimethylphenolと
しましたが,キシレンをベースに2,3-xylenolという名称もあり,
1-Hydroxy-2,3-dimethylbenzeneと言い換えることもできますね。
(2) のアルコールはエタノールをベースにベンゼン環=phenyl基
を置換基としてあります。
(3)では教科書にあるベンジルアルコールとアニソールをベース
にmethyl基を置換基としてあります。
※ あまり複雑なものは名称を入試で問うことはないようです。
あくまでも参考に。興味があれば検索してみてもいいでしょう。
「なるほどね」という命名があると思います。