α-54 解説の解説

  

※ まず流れを整理してみましょう。 次の図を見てください。






※ 気液平衡のポイント 

   液体が共存するとき,蒸気は飽和蒸気圧を示す。
   液体の量に無関係。一滴でもあれば飽和蒸気圧となる。

※ 分圧の法則のポイント

   混合気体の全圧は分圧の和。
   分圧比は物質量の比。 分圧はモル分率に比例。


※ ピンホールのポイント
  
   圧力が内外でつりあっているときは,拡散はほとんど無視できる。
    と考える。


(1)  試料蒸気の質量 を求める

  → ④ でフラスコを満たしていた試料気体の質量w(g)を求める。

  → ⑤ では気体と液体にわかれてはいるが,合計の質量はw(g)。

  → ⑤ と ① の中身の質量を比較するとよい。
                
    風袋(ふうたいと読む: 入れ物のこと)の質量は等しいから無視する。
                  

① の中身は,25℃,1.0×105 Paの空気450 mL。 

  本文中に「密度1.1 g/L」とあるから,1.0 L (1000mL)で1.1gということ。

  450 mLでは何gになるか。     1.1 ×450/1000 = 0.495 g


⑤ の中身のひとつは,25℃,8.0×104 Paの空気450 mL。

  ※ ピンホールを境に,混合気体の全圧と大気圧がつりあう。
     試料気体は飽和蒸気圧2.0×104 Paだから,分圧則より
     空気の分圧は8.0×104 Pa。 
  

  あえて質量を求めると,
   「圧力が8割になった=物質量が8割になった」から,
       
    0.495×0.80 = 0.396 g

  ①にくらべて空気は2割減ったから,

    0.495×0.20 = 0.099 g
 
                  が①にくらべて減少(-)した。 

  ※ 試料気体の飽和蒸気圧分だけ空気が追い出されたと考えてもよい。


⑤ の中身のもうひとつは,試料の気体・液体。
      
   合わせて w(g)が①にくらべて増加(+)した。


よって,質量の変化

   ⑤ - ① = ( +w -0.099 )

          = 146.17 - 145.00
          
          = 1.17 g

               ∴ w = 1.269 g    答 1.27 g

    
 (2)  試料の分子量 を求める 

    → ④ のデータを代入して,状態方程式を解く。

    状態方程式 pV = wRT/M より, 

    M = wRT/(pV)

     = 1.269×8.3×103×360/(1.0×105×0.450)

     = 84.2... g/mol   ← モル質量  

        分子量は単位を取って,        答 84